火葬場とは
日本では明治時代までは土葬が主流でしたが、明治期になり都市が発展してきて土地が不足してきたこと、そして衛生面の問題から火葬が行われるようになりました。一時は神道の影響で火葬が禁止されたこともありますが、今では、ほぼ遺体は火葬されます。
火葬場の抱える問題点とは
現在、葬儀を執り行うときに火葬をする場所が火葬場です。独立して建てられていることもありますが、斎場と併設されていることも多いです。墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)では、その経営をするにあたっては都道府県知事の許可が必要とされています。生活に無くてはならない存在ではあるのですが、いろいろな問題を抱えている施設でもあります。すぐそばで遺体を燃やしているというのは、周辺の住民にとっては感情的に気分の良いものとはいえません。それにゴミを燃やしているのではなく遺体を燃やしているということで、大気汚染防止法などの規制の対象外になっています。ですから、有害物質が排出されることで周辺の環境に与える影響も懸念されます。
計画的な都市づくりをするための法律である都市計画法において火葬場は都市施設、建築基準法においては特殊建築物とみなされます。特殊建築物では建設をする場所を選ぶときに、住宅や病院などから一定の距離が離れているなどの規制があります。さらに自治体の条例で塀や壁を作ることや、防臭・防塵など環境に与える影響を最小限に留める設備があることなどが定められていることもありますから、それらの規制に触れないように建設をしなければいけません。
公営と民営、それぞれの相場
そんな火葬場には、誰が運営をしているのかで公営と民営に区別できます。公営というのは市区町村などの自治体が運営しています。民営は一般の企業が運営している施設です。民営よりも公営のほうが料金が安く、場所によっては無料で利用ができます。おおよその目安ですが、公営であれば数千円から5万円程度が火葬の費用になります。それに対して民営は5万円から15万円程度とかなりの差があります。これならば、誰もが公営を利用したくなるところですが、火葬には時間がかかりますから、それほど多くの遺体を燃やすことはできません。公営の予約が埋まっていれば、遺体をそのままにしておくこともできませんから民間を使用することになります。
それに、高齢化が進む中で火葬の需要が増える一方で、施設が老朽化して壊されたり新しく建てようにも住民の反対や費用の問題で計画が進まないので全国的に火葬場が不足しつつあります。そういう事情で、安い公営はますます予約が取りにくくなっています。
葬儀では、宗教・宗旨・宗派によって形式が変わってきます。そして、斎場によっては特定の宗教・宗旨・宗派でなければいけないこともあります。では、火葬をするときも、同じように信仰が関係するのかというと、公営であれば不問です。民営については、運営している企業によって方針が異なりますが、大抵の場合は公営と同じ扱いです。
火葬場は一般人でも予約できる
最近では通夜や告別式をせずに、いきなり火葬をする直葬、火葬式といった形式も増えています。葬儀会社によっては直葬、火葬式を断ることもありますから、そういうときには自分で予約をします。葬儀会社を介さずに火葬場は使えないと思っている人もいますが、予約は一般の人でも問題はないです。
火葬許可証が必要
ただし、予約できたからといって勝手に火葬ができるわけではなく、火葬許可証を用意する必要があります。火葬許可証というのは、人が亡くなったときに火葬をしてもいいと役所から許可をもらったら発行してもらえます。人が亡くなれば、医師に死亡診断書をもらいますが、そこに必要事項を記入して役所に死亡届と一緒に提出します。死亡診断書には誰がどこで亡くなったのか、死因はなにかという情報が書かれています。もし事故や不審死など明らかに自然死ではない状況だと、警察の監察医などが調べるので死亡診断書の代りに死体検案書を提出します。
提出した書類に問題がなければ、役所から火葬許可証がもらえます。なお、火葬許可証は、死後24時間が経過しないと発行してもらえません。というのも死んだと思っていたけど、実は生きていたということがあるからです。間違って火葬をしないためにも、ある程度の時間を置かなければいけません。
火葬許可証をもらったら、葬儀会社を利用しているときには預けておいたり、自分で予約をするときにはなくさないように保管しておきます。そして火葬をする当日に火葬場の管理事務所に提出して、無事に終わったら火葬が行われたという印が押されて、遺骨とともに返却されます。
火葬をするための時間は、炉の性能や個人の体格によって異なります。一般的には1時間から1時間10分程度ですが、早ければ40分程度で済むこともあります。遺骨を残さなければいけないのであまり高温になりすぎるのもいけないのですが、ダイオキシンの発生を防ぐためにも800度以上で燃やすのが業界のルールになっています。