はじめての葬式仏教

お坊さん

お坊さんになるには?資格は必要?

お坊さんは、正しくは「僧侶」といわれ、その中でも一つのお寺を一人の僧侶が管理し檀家を守っている場合や、複数人在籍する僧侶の中でトップの地位にいる僧侶は住職といわれます。

お坊さんという職業

一軒のお寺の住職はご子息が代々継いでいるものと思われがちですが、お寺と無関係な一般家庭で育った人も僧侶や住職になれるのです。実際には住職の息子や娘、または娘婿などが後を継いでいる場合も多いのですが、少子化の昨今は必ずしも後継ぎがいるとは限らないので、むしろ一般から僧侶を希望してくれることは喜ばれることです。

 

お坊さんは、主に寺院に所属して葬儀や法事の際にはお経を唱えて故人を弔ったり、参列者に説教といわれる「お話」をしたり、各宗派によって行われる行事を開催したりするのが主な仕事です。

 

また日々朝夕の読経など修業を重ね、檀家の人々が気持ちよく訪れることができるよう、また地域の人々と触れ合う時間を作るためにもお寺周辺の掃除をすることも欠かさず行います。

 

また、お盆や彼岸には檀家を1軒1軒回って、ご先祖様の仏壇や墓の前でお経を読んで供養します。このような仕事が待っているので、お坊さんはお盆や彼岸は大忙しです。またいつなんどき葬儀の依頼があるかわからないので、長期休みを取ることはできません。一つのお寺でもし葬儀が入ったり私用で住職が留守になるときでも、連絡がとれなくなると地域の人の信頼関係が崩れることがあるので、近辺の他のお寺の住職と連絡を取り合っておくことが重要になります。

 

このように年中無休ともいえる仕事ですが、僧侶は故人を無事に極楽浄土に送り出すことと、故人を成仏させることによって遺族の気持ちを安らかにすることが大きな仕事です。そのため俗世界から離れたところで修行を積み、僧侶になっても日々本殿で阿弥陀仏様に向かってお経を読み続け、一般の人々よりも少しでも仏様に近づける努力が必要なのです。

 

それでも、仏教に興味があり、故人を極楽に導き遺族の心を安らかにしたいという気持ちや世界の平和と人々の平穏な暮らしを強く願う人の中には、お坊さんになりたいという人もいるでしょう。

お坊さんになるには資格がいる?

僧侶になるには、特別な資格は必要ありません。しかし、各宗派の師匠となる人のところに入門をする必要があります。入門をすると、「得度」といわれる出家の儀式を受けることになります。その儀式では剃髪して戒律を守ることを誓い、戒名を授かります。古来では、仏門に入るために家族との縁を切って俗世間とも別れるための儀式でしたが、現在では家族との縁を断つことはなくなっています。得度を受けた後は、数々の修業を積み一人前の僧侶へとなっていくのです。入門は一人の人が一人の師匠のところに行くだけではなく、宗派の本山のあるところでは集団で入門をして、得度を受け、仲間と共に修行ができる場合もあります。また仏教を専門に学ぶ大学や専門学校もあるので、そのような学校で学べば、卒業後の入門先も見つけやすいといえるでしょう。

やりがいを感じる仕事も多い

お坊さんは、葬儀や法事で故人を安らかな旅立ちに導き、遺族の気持ちを落ち着かせることができるので、感謝されることが多いです。また檀家だけでなく地域の人々の困りごとの相談を受けたり、助けを求められたりすることもあるので、地域社会に貢献することで、人々の役に立てられていることを実感し、自分の存在価値を見出すことができるとともに、地域の人々との信頼関係を作っていけることもやりがいと感じることもあるでしょう。

 

さらに、僧侶は日々の読経や掃除、葬儀や法事の際の供養、行事の開催などの仕事を行いながら、仏様の教えを広く伝え、その教えを後世に伝えていくという重要な役割を担っています。歴史は長く伝統もある仏教を後世に伝えることができるということは、社会に貢献していることになり、そこが僧侶としてのやりがいとも言えます。

 

 

兼業の人も多い

僧侶は、檀家の人々の墓地の管理料や法事などでのお布施、寄付などが主な収入となりますが、年収はそれほど多くないところがほとんどです。核家族化で子どもたちが都会に出て行ったり、高齢者がお墓の世話をすることが難しくなるなどの理由で、お墓の引っ越しや墓じまいなども一般的に行われるようになってきて、檀家も減る一方で、特に地方のお寺は経営が困難になっています。それでもお寺を管理・維持していこうとしたら日々の掃除だけでなく修繕工事をしする必要も出てきて、忙しさと出費は変わりません。そのため、僧侶をする傍ら他の仕事をする人も少なくないのです。ほかの仕事をしていると急な葬儀が入ると休まなければいけなくなってきますが、様々な気苦労を抱えながらも受け継いだお寺を守っていこうとする住職もまだまだたくさんいます。

 

 

どのような人に向いているの?

僧侶は、人のため、社会のために役に立つ仕事でもあり、地域の人々と信頼関係を築ける仕事でもあります。その仕事は自分のためにもなるので、仏教に興味があり、仏様に少しでも近づいて仏様の教えを人々に伝え、人の役にも立ちたいという人には、お坊さんという選択肢もあるのです。

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