お通夜で持参する数珠の意味と必要性
日常において数珠を持つ機会はなかなかありません。ですが、葬儀やお通夜に参加するときには、数珠が必須アイテムとなります。仏式の葬儀において、これは必要不可欠なものです。葬儀の際には他にもさまざまな小物類が必要となり、準備に手間取ることもあるでしょう。ハンカチやバッグなどにも葬儀のマナーがあるのと同じように、念珠ひとつにも葬儀に関するマナーが存在するのです。
お通夜で数珠は必要?
まずお通夜に参加するのであれば、念珠は必ず持参しなければなりません。ご焼香の際には、右手で焼香を行い左手に数珠をかけるかたちが一般的です。ご焼香のあとは合掌を行い、これで故人を弔うかたちとなります。このとき、念珠をかけずに合掌することは、あってはなりません。念珠をかけずに合掌することは、仏式の葬儀ではそのまま素手で仏様を掴むということを意味します。大変失礼な行為とされていますので、注意を払いましょう。このとき、持参する念珠は仏様を祀るためのいわゆる「法具」として必要となるのです。この念珠は、宗派によって「本式」「略式」が決まっています。持参するときには、なかなか相手の所属する宗派がわからないものです。そのため、持参する数珠は基本的に自分のところの宗派の念珠で良い、とされています。ここで「本式」を持つか「略式」を持つかが問題となりますが、基本的にはどちらの念珠を使用しても問題はありません。しかし汎用性が高いのは、「略式」のほうですので宗派を気にする場合は「略式」のほうを持参するのが無難といえます。基本的な考えとして、念珠は自分の分身ととらえられています。そのため、肌身離さず持つのが理想とされているのです。
どのような数珠を選べばいいの?
数珠選びの際に最も気にしなければならないのは、宗派のこといえるでしょう。自分の正式な宗派の品をもつか、それともどの宗派でも使用が出来るものにするか、決めなければなりません。触れておきたいのは「本式」と「略式」の品の違いについてです。近年は「略式」を選ぶケースが多く、どの宗派でも使えることが喜ばれている傾向にあります。「本式」は各宗派によって仕立てが異なり、持ち方などの作法もそれぞれ個性があります。珠の数はきちんと決まっており、108個が「本式」です。それと比較すると「略式」は比較的自由な作りとなっています。珠の数は54・36・27とさまざまです。素材や飾りの房などを自由に選定できることも特徴で、「略式」を持参する人が多いのもうなづけることでしょう。
さらに、念珠には男性用・女性用があります。男性用の場合は、女性用の品よりも珠が大きくしっかりとした手触りのものが多いです。また、女性用より珠の数が多いのも特徴といえます。色も黒や茶色など、落ち着いた色が多いです。女性用は珠が小さく、少ない華奢な印象を与えるものが多い傾向にあるます。透明・白・パープルなどの色があり、柔らかみのある色が選べます。房などがついているパターンも見られるのが特徴です。素材も木材か、石材どちらからも選ぶことが出来ます。木材の中でも菩提樹は「仏様が菩提樹の下で悟りを開かれた」という逸話もあり人気です。石材は石によって、持つ効果や意味が異なります。自分に最適なものを選ぶと良いでしょう。
数珠を扱う上でのマナーとは?
お通夜では、念珠をテーブルの上にそのまま放置することは良くありません。あくまで仏具とされており、自分自身の身代わりとされているものですから、大切に扱うことがマナーとされています。専用の袋にいれて、机などの上に置く場合は下にハンカチなどを敷くように扱いましょう。基本的にはお通夜の始まりから終わりまで、念珠はつけたままで過ごします。位置は左手首または左手に持つのが正しい持ち方です。移動の際なども、全て左に念珠を持って移動を行います。これには諸説意味合いがあり、「右手が不浄とされているため」ということや「左から悪い念が入ってくるのを念珠で防ぐ」という意味もあると言われています。合掌を行うときには、左手に念珠をかけて、親指は外して右手をそろえ両手をそろえます。そのまま両手を合わせるときにも、親指は必ず外すことになっていますので、注意しましょう。
とても大切なこととして覚えていてほしいのは、数珠は持ち主の身代わりの品とされているため、他人との貸し借りはしてはいけないこととされている、ということです。もし何らかのトラブルで忘れてしまった場合は、誰かから借りてはいけません。葬儀社のほうでそのような場合のために、用意がされていることがありますので相談してみることをおすすめします。それでも用意するのが難しいのであれば、近場の100均ショップやコンビニエンスストアで販売をしているケースもありますので、そこで購入し用意するという方法もあります。基本的に、念珠を持参した上でお通夜や葬儀に参加する、というのはマナーのひとつとされています。このようなときのために、折を見て自分専用の品をひとつ用意しておくことをおすすめします。