火葬場で働いている人
一般的な日本の葬儀では、人が亡くなった場合には火葬を行い、供養することになるでしょう。そのため火葬場は日本の葬儀において欠かすことができない場所であり、私たちが葬儀を行う場合には、火葬場で働いている職員により支えられているとも言えます。
火葬場ではどのような人が働いている?
火葬場で働いている人と一言で言っても、携わる職種はいくつかにわかれます。その中でも主流の仕事となるものがセレモニースタッフの職員と言えるでしょう。
一般的な仕事としては、遺族を出迎え、霊柩車にのせてある遺体を、ストレッチャーに乗せて火葬炉まで運ぶことです。火葬炉には祭壇が置いてあるので、ここにお供え物や遺影を置いてもらうように遺族に伝えます。具体的には、まず最初に僧侶の読経の後に棺をストレッチャーから火葬炉に移します。この時には鍵をかけることになりますが、鍵を保管するのは職員が行うのではなく、喪主に務めてもらうことが一般的となっています。そして喪主に火葬炉のスイッチを押してもらうことにより、火葬が行われます。スイッチを押した後は、職員も含め遺族全員で合掌を行うことになります。火葬にかかる時間は個人差があるものの、約1時間から2時間ほどの時間がかかることになるでしょう。その間には遺族には控室で時間まで待っていてもらうことになるので、遺族を控室に案内することになります。控室には事前に食べ物やお茶などの用意を済ませておきます。火葬が終わると、遺族を控室から火葬炉まで誘導することになり、そのあと収骨のお手伝いを行ないます。収骨の際には、どの部分の遺骨であるのかの説明も行うことになります。収骨が終わった後にはお骨を箱におさめて、火葬許可証を入れます。この証明書がなければ、お墓に入れることができないため、非常に大切なものであることを遺族に説明しなければなりません。これが一連の流れとなり、その後遺族を見送ったら終了となります。場合によっては初七日の法要などを一緒に行うこともあり、その場合には、それに準じた誘導を行うことになるでしょう。
また火葬の案内以外にも、施設の清掃を行うなどの仕事も担当することになります。火葬場によっても異なりますが、業務ごとに仕事が分かれているケースも見られます。
そして火葬場で働いている人の中には、霊柩車の運転士を務めている人もいるものです。葬儀が終わった後には、故人が入っている棺は火葬場に移動することになりますが、この時に棺を斎場から運ぶことになります。運転手の仕事は運転だけを行うというわけではなく、棺を乗せる場合には、運転中に動かないようにしっかりと固定しなければなりません。運転をしていないときには、車を清掃したり、しっかりとメンテナンスを行う必要もあり、できる限り清潔な状態に保っておく必要があります。
そしてそのほかにも事務職に携わっている人もいることでしょう。事務職の仕事は多岐にわたり、電話の応対はもちろんのこと、受け付けや、伝票の記入などがあげられます。これらは一般企業の事務職とそれほど変わりはないでしょう。一番の特徴としては、遺族から火葬許可証を受け取ることが挙げられます。この証明書がなければ火葬を行うことができないので、大切に保管しなければなりません。場合によっては事務所のスタッフが、火葬の手伝いをするケースも少なくないものです。
火葬場の仕事は資格が必要?
このようにさまざまな仕事があることがわかりましたが、この仕事を行うために資格や専門的な知識が必要なのかと考える人もいるかもしれません。多くの場合セレモニースタッフの職員の仕事は資格は必要ありません。特にこれまで経験したことがないという人でも、歓迎されることでしょう。霊柩車の運転手に関しては、運転免許が必要となります。遺体を運搬する必要があるので、第二種免許が必要だと思うかもしれませんが、普通免許でも可能となります。事務職のスタッフも同じように資格は必要ありません。
給料はどのくらい?
給料の面が気になるという人もいるかもしれませんが、仕事をする人の雇用形態は、正社員もいれば契約社員、アルバイトまで様々です。一概に言うことはできませんが、多くの場合給料は20万円前後と、平均的な収入よりも少ない傾向にあります。しかし場合によっては心付けを受け取ることもあるでしょう。心付けとは外国でいうチップのようなものであり、遺族から直接渡されるものを指します。
大変だがやりがいがある
このように仕事内容は決して楽なものではないものの、責任が重いのでやりがいは十分にあるといえます。故人との最後の別れに携わるため、悲しむ遺族の姿を目の当たりにし、精神的な強さも求められます。しかし遺族から感謝の言葉を伝えられることも多く、それがモチベーションになっている人も多く見られます。人間の命に向き合う仕事であるため、だれにでも簡単にできるようなものではないかもしれません。しかしこれまでのことからわかるように、非常にやりがいのある仕事といえるでしょう。